20年後に約40%の下水管が耐用年数を超える

 国交省によれば、2022年度末までに整備された下水管の長さは約49万kmに達する。そのうち、標準的な耐用年数とされる50年を超過した下水管は約3万kmと、すべての下水管のおよそ7%程度だが、10年後には約9万km(約19%)、20年後には約20万km(約40%)と、その割合は今後、急増していく。

 しかも、耐用年数を超えるのは下水管だけではない。全国に約2200カ所ある下水処理場にも、機械・電気設備の標準耐用年数を超えた施設が2000カ所存在しており、全体の9割の施設で設備の老朽化が進んでいる。

 ちなみに、上水道は下水道に比べると比較的新しいと言われるが、50年以上を経過する浄水場施設は数多い。耐用年数を超えた水道管理の老朽化率も年々上昇しており、令和3年には、法定耐用年数を超えた管路は全体の22.1%に達した。今のままでは、すべての水道管路を更新するのに140年かかると言われている。

令和6年度 全国水道主管課長会議(国土交通省)
8割が知らない水道管の実情 耐用年数超え、交換作業には140年(毎日新聞)

 もっとも、下水管や処理場などの更新にはさまざまなハードルがある。その最大のものは、維持管理や更新にかかる膨大なコストだ。

 少し古い推計だが、国交省は下水道の維持管理・更新費について、2019~2048年度の30年間の合計で、37.9兆円~38.4兆円と推計している。これは下水道のみの金額で、道路や河川など他の分野を加えれば、当然、金額は膨れ上がる。

ストックマネジメントについて(国土交通省)

 2025年度の当初予算案は115兆5415億円と過去最大だが、税収ですべてをまかなえるはずもなく、2025年度の国債発行は28兆円余りを予定している。社会保障費の歳出拡大が続く中、下水道の維持管理・更新の費用を確保するのは簡単ではない。

 さらに、問題を難しくしているのはデータの不足である。