上水道と下水道の一体的なマネジメントが不可欠

 また、ここまでは下水道の話に限ってきたが、本来は上水道における施設や管路の維持管理や更新も一体でマネジメントすべきだ。

 上下水道の実施主体は地方自治体ごとに分かれているが、同じ埋設管である以上、一緒に維持管理したほうが効果的だ。しかも、現在は都道府県や市町村ごとにバラバラに運営されているが、人口が減っていくことを考えれば、流域に沿って上下水道のマネジメントを広域化していくほうが合理的だろう。

 その際には、遅れているデジタル化を進め、データに基づいた維持管理を進めるべきなのは言うまでもない。

 正直なところ、老朽化した公共インフラの更新だけでも大変なのに、上下水道の一体マネジメントの広域化や施設の最適配置などを図るのは至難の業だ。ただ、これまでの右肩上がりの時代は終わり、これから日本はさまざまな意味でシュリンクしていく。老朽化したインフラの更新を奇貨に、これからの日本にふさわしいインフラ整備を官民連携で構築していくという発想が必要だ。

植村公一(うえむら・きみかず)
インデックス代表取締役
 1994年の創業以来、建設プロジェクトマネジメントを本業にした独立系コンサルティングファームとして数多くの建築プロジェクトを成功に導いてきた。とりわけ予算や工期などに問題を抱えるプロジェクトの適正化に定評がある。最近は建設プロジェクトだけでなく、有料道路のコンセッションなど社会インフラ関連のPPP(Public Private Partnership:官民連携)に力を入れており、愛知県の政策顧問として愛知県有料道路や愛知県国際展示場のコンセッション、Station Ai、愛知県新体育館(アリーナ)の「BT+コンセッション」などをサポートしている。
 2011年12月から2012年6月まで、前田武志国土交通大臣の下で国交省の政策参与を務めた。2022年4月からは、国立大学法人東京農工大学理事を務めている。カリフォルニア芸術大学卒。
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