
埼玉県八潮市の交差点で起きた道路の陥没事故。その規模の大きさもあり、注目を集めているが、下水管の老朽化に起因する陥没事故はこれまでにも起きている。社会保障費が膨らむ中、老朽化したインフラを効率的に維持管理・更新していくにはどうすればいいのだろうか。(植村 公一:インデックス代表取締役)
埼玉県八潮市の交差点で起きた道路の陥没事故は、発生から1週間が経過した。転落したトラックに残された運転手の救助活動は進展しておらず、周辺では下水道の使用が制限されるなど、市民生活への影響が続いている。
原因はまだ特定されていないが、硫化水素による下水管の破損が影響した可能性が高い。下水管を流れる汚水から発生した硫化水素が管の中で滞留。その硫化水素がコンクリート表面に付着している細菌の働きによって硫酸に変化し、コンクリートを劣化させるのだ。
そして、下水管に空いた穴から汚水があふれて周囲の土砂を流し、陥没が拡大したとみられている。
今回の八潮市の陥没事故は、その規模の大きさもあって注目を集めているが、下水道の劣化に伴う陥没事故は毎年のように起きている。
国土交通省が発表した「下水道管理メンテナンス年報(令和5年度)」によると、下水道の管路に起因する道路陥没は令和4年度に約2600件発生した。そのほとんどは50cm未満の規模の小さなものだが、100cmを超えるような陥没も2%起きていた。
こうしたことを踏まえると、今回の八潮市のような大規模な陥没事故は、ある程度、予想できたと言える。



