「デマ扇動がまかり通る社会に彼は絶望した」
デマによる扇動という悪意の刃に竹内は殺された。そして、死後もそれは止んでいない。
そういうことがまかり通る社会に彼は絶望したのだと、会派の同僚だった県議の迎山志保は言う。頻繁に連絡を取っていた迎山は、知事選の最中に竹内が陥った絶望をこう語る。
「SNSの誹謗中傷を恐れてはいましたが、それ以上に身近な、信頼関係にあると思っていた人までがデマを信じて真偽を問いただしてきたり、竹内さんの情報をネットに漏らしたりしていたことがあり、大きなショックを受けていた。『自分がやってきたことは何だったのか。誰を信用したらいいのか』と。
最後のダメ押しは、やはり選挙結果です。翌朝、彼が辞職届を出す前に電話でしゃべったんですが、『今の社会ってこうなんやな。自分にできることはもうないわ。政治家としてやっていく自信もない』と打ちひしがれていました。『自分が情けない、無力や』って」
私は、県議を辞職した直後の竹内に話を聞かせてほしいと何度かLINEでメッセージを送った。取材依頼が相次いでいたはずだ。精神的負担をかけるのは本意ではないが、彼が辞職に追い込まれた経緯は、どうしても看過できないと考えたからだ。
返信の文言は、とても以前の彼から想像できなかった。「怖いんです」「お許しください」……議員が天職の正義漢が恐怖に打ち震えていた。
(続く)
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