妻と見た百条委、「説明も否定もする気力なく」
「鬱々とした中でも、やっぱり百条委員会だけはと一緒に見たんですけど、こちらにすればいわれのない嫌疑をかけられて。だけど今はもう議員でもなく、反論できる立場にない。説明することも、否定することも、気力が何も残ってなかったんですよね。それにはエネルギーがいるし、静観するよりなくて……。
選挙中も黒幕だなんだと言われても、こちらは一切発信しなかったので、否定しないのはその通りだからじゃないか、後ろめたいことがあるんじゃないかとか、そういうふうに受け取られることも不本意でしたけども、ただそれを弁明する力が本人になかったんで」
竹内の死後、TBSの『報道特集』が、竹内がブログなどで発信したゆかたまつりの話に誤りはなかったこと、元県民局長の妻のメールは確かに本人のものであることを確認するファクトチェック報道を行っている。また、文具を投げた話は職員の証言に基づいており、斎藤も片山も百条委で「付箋を投げた・投げられた」ことは認めている。証言の細部に違いはあれ、捏造とは言えない。黒幕説については、荒唐無稽な作り話に過ぎないだろう。
3秒で思いついたウソにファクトチェックが追いつくのか
だが、そもそもデマの発端を作った立花は、竹内の死が報じられた直後から、「兵庫県警に明日逮捕される予定だった。それを苦に命を絶った」と吹聴した。
複数の報道機関が県警に取材してこれを打ち消し、さらに県警本部長が「まったくの事実無根」「明白な虚偽が拡散され、極めて遺憾」と県議会で異例の答弁をすると、ネット動画で謝罪したものの、「誹謗中傷した記憶はない。これぐらいで自ら命を絶つ人が政治家をしちゃいかん」と、まったく悪びれていない。先の『報道特集』のインタビューでも、「(竹内が)でっちあげたとは言っていない、疑惑があると言った」と、堂々と虚言を弄していた。
扇動者は敵と見なした者に対し、なんら根拠のないデマを次々と繰り出す。否定されても、何度でも同じことを繰り返すか、また新たなデマを作る。黙っていれば、「やはり本当だ」と嵩にかかる。扇動された者たちはSNSでこれに群がり、拡散し、やがて自宅や事務所に押しかけたり、路上で本人にスマホのカメラを突き付けたりして、現実の脅威となる。
マスメディアがファクトチェックすべきだというのはその通りであっても、3秒で思いついたようなデマを検証するにも、時間と労力がかかる。到底追いつけるものではない。