知事選中のSNS攻撃に追い詰められ辞職

 斎藤を後押しするために立候補した「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志が、百条委委員長の奥谷謙一、委員の丸尾牧の両県議とともに竹内を標的とし、街宣やネット動画で「告発文書の黒幕」「家や事務所に行く」「見つけたらSNSで教えて。追いかけるから」などと扇動を繰り返した。それに煽られてSNSや電話による誹謗中傷や脅迫的言動が殺到、竹内は急速に追い詰められていった。

 斎藤が再選された翌日の11月18日、竹内は「一身上の都合」で県議を辞職。一人で事務所を守る妻が立花やその支持者の攻撃を恐れ、議員を辞めてほしいと懇願したことが直接の理由だったが、妻によれば、本人も常に恐怖と不安に駆られ、自宅を出られなくなっていた。辞職後は「自分は負けた、逃げた」という自責と悲観に深くはまり込んでいったという。

 そして、ちょうど2カ月後、自ら命を絶った。50歳だった。

 昨年末から年明けにかけて、精神状態が悪化していったという。きっかけは12月25日の百条委で名前が取り沙汰されたことだった。元副知事の片山安孝や斎藤に対し、県議の増山誠が行った質疑で、竹内に関する根拠不明の話が「疑惑」と称して、いくつも語られた。

 たとえば、告発文書の作成に関与した、「姫路ゆかたまつり」での斎藤の言動をめぐって虚偽情報を発信した、斎藤が片山に文具を投げたという話を捏造した……などだ。

 片山は、まくし立てるようにこう語っている。

「竹内さんについては火のないところに煙は立たないということですけれども、元西播磨県民局長の奥様のメール(注・県民局長の死後、県議会議事課に送ったもの)の作成に関与してたんじゃないか。また、本人の陳述書の作成に関与してたんじゃないか。こういうことを言われてますんで、ぜひ解明いただかなければいけないのではないかなと思ってます」

昨年末の百条委で、竹内氏の「疑惑」を語った片山元副知事

 こうしたやり取りを竹内は自宅で見ていたと、妻は語る。