「平成の米騒動」をはるかに上回る今回の上昇率
<コメ価格の高騰が長引く>
「穀類」については、「第1波」では原材料である輸入小麦高騰分の転嫁を背景としたパン類の価格上昇が目立ったが、「第2波」の段階ではコメ価格急騰の影響が大きい。
CPI米類の前年比伸び率は、2024年半ば頃から急速に拡大傾向を辿り、12月には+64.5%と過去最高水準を記録した。「令和の米騒動」と呼ばれる今局面の上昇率は、「平成の米騒動」や03年産凶作で高騰した局面をはるかに上回る。
2024年9月5日付けの拙稿「【令和の米騒動の真因】インバウンドよりも大きかった作付面積の減少、「主食向け」をあきらめる米農家の存在」でも指摘したように、このところのコメの需給逼迫は、高齢化や転作促進等を背景に作付面積が縮小傾向を辿る中、外食向けなど需要が回復へ転じたために生じたと考えられる。
2023年産米の作柄は「平年並み」で、過去のコメ高騰局面と異なり、一時的な不作が原因ではなかった。
2023年産米は、高温障害により一等米比率が急低下したことが価格高騰の背景と指摘されており、確かにその影響は大きいだろう。ただ、そもそも過去に一等米比率が急低下した際に、コメ高騰は生じなかった。高齢化等で構造的に供給が縮小傾向を辿る中、一時的な要因で需給逼迫がもたらされやすい状況にあると思われる。