シューズを替えたら走りが変わった

 網本は昨年9月の日本インカレ10000mで8位(日本人2位)に入ったが、10月の出雲駅伝は3区で区間13位と振るわなかった。その後、なかなか調子が上がらず、シューズ選びに悩んでいたという。一時はトレーニングモデルともいえる『ズーム フライ』をレースで使用することも考えたほどだ。しかし、『ヴェイパーフライの後継モデル』を着用すると、調子が上昇。箱根駅伝では8区を区間2位と快走した。

「出雲駅伝やオランダ遠征では『アルファフライ 3』を履いたんですけど、脚筋力が足らない部分があり、シューズの恩恵をうまく受け取ることができませんでした。その後、様々なモデルを試して、ギリギリまで悩みましたが、最終的に『ヴェイパーフライの後継モデル』を選びました。反発性やクッション性、フィット感が一番しっくりきて、ソールも柔らかすぎず硬すぎず、自分の足にフィットするシューズでした。このモデルなら自信を持って走れるなと思ったんです。これまでは15km過ぎに失速することが多かったんですけど、今回は15km以降にある遊行寺の坂もしっかり走ることができました」

 酒井俊幸監督も網本の“変化”を感じており、「シューズとの相性が良く、フォームが安定して、走りの感覚も良くなってきたんです。シューズ選びに成功したのが自信につながったと思います」と話している。

 一方で『アルファフライ 3』を着用したのが2区の大役を務めた緒方澪那斗(3年)と、20年連続シードのゴールに飛び込んだ薄根大河(2年)だ。

 その理由は、「最初はヴェイパーフライを使っていましたが、『アルファフライ 3』が発売された際に試したところ結果も良かったので、今回も履きなれているモデルを選びました」と緒方。薄根は、「自分は脚⼒が特別あるわけではありませんが、長い時間持たせる走り得意です。『アルファフライ 3』の感覚がマッチしていて、反発感や脚の運び⽅、⻑距離を⾛っても脚が持つ感覚が気にいっています」と話している。

 面白いのが7区を走った内堀勇(2年)だ。『アルファフライ 3』と『ヴェイパーフライの後継モデル』を試したが、本番で選んだのは旧モデルだった。

「7区のように起伏が激しい区間では、後半でも脚を残してくれるシューズが必要です。高校時代から履き慣れていて信頼のある『ヴェイパーフライ 2』を選びました。反発がちょうど良く、接地感が好みなんです」

 各メーカーが毎年のように新モデルを登場させており、シューズは年々、進化を遂げている。そのなかでどのモデルを選ぶのか。シューズとのマッチングも勝負の行方を握るカギになっているようだ。