ネットの普及で再燃した部落問題
角岡:ネットが普及しだした20年ほど前から、昔の資料を集めて部落にかかわる地名や人名をネット上に公表する人が現れました。情報化社会は非常に便利ですが、部落の地名や人名が多くの人に曝露されてしまうマイナス面も持ち合わせていました。
その一方で、結婚を前提に付き合っている恋人が部落の出身だがどうすべきか、引っ越し先が部落かもしれないがどう思うかといった悩みや質問を匿名掲示板やQ&Aサイトで目にする機会もあります。
そういった意味では、非常に残念ではありますがどこが部落で誰が部落民かというネット情報には一定のニーズがあるのかもしれません。
ネットが部落差別を増幅させるツールになっているのは確かです。ある特定の人が部落民か否かは、かつてはクライアントが高額な費用を払って興信所が調べました。ネットが普及すると、そういった調査を個人が無料でできてしまうようになりました。
そして、部落に対する情報を見て、部落に対してマイナスの感情を抱く。こうして部落差別が再燃してしまいました。
──どこが被差別部落で、誰が部落民かをネット上で発信する人は、どのような目的でやっているのでしょうか。
角岡:一言で言うと、面白がっているだけだと思います。どこが部落かということは公然の秘密のようなもので、わかる人にはわかります。
そういうことを「自分は知っている」と自慢したい人もいます。面白がって自慢げにそれをネット上に公表し、たくさんの人がそれを見て反応していると嬉しくなり、さらに情報をアップする。それで金銭を得ようとする者もいます。完全に悪循環です。
裁判になった事例もあります。