ホンダは、経営統合の前提として、日産にリストラの徹底を求めている。両者は統合準備委員会を設置し協議し、その結果をもとに25年6月までに最終合意する。2026年4月の臨時株主総会を両社で開催し、持ち株会社を新設しその傘下に入るというスケジュールになっているが、もしも日産のリストラが不十分ということになれば、最終合意に至らないというケースもあり得なくはない。日産の内田誠社長は「自社をまずは再生する」と言ったが、その最初の難関を通過しないと先は無い。
そこをクリアしたとしても、さらに日産には厳しい現実が待っている。日本経済新聞の試算では、3社での統合比率は、直近1~6カ月の株式時価総額の比率から、日産を1とし、ホンダ4.8~5.1、三菱0.4だった。日産はホンダの5分の1の価値しかない。新会社の全株式を100%とすると、ホンダ77~78%、日産15%~16%、三菱が6~7%と試算されている。明らかな救済統合である。
ホンダも中国での販売不振とEV生産終了で余力無し
一方のホンダにも日産を救済するほどの余力は、正直言ってない。
ホンダは、2040年までにすべての新車をEVと燃料電池車にする方針を挙げている。30年度までにEV・ソフトウエア開発に10兆円を投じると表明している。いずれも大胆な目標だが、足元の収益構造は盤石ではない。
中国は世界一の自動車市場であるが、ホンダは、2024年の中国販売が23年比で30.9%と、日産の12.2%減、トヨタの6%減と比較しても、「激減」している。
中国ではBYDは国内販売が19年比8.5倍に大躍進し、日中格差は開いた。