生成AIが「考える」という行為を代替すると何が起きるか?
生成AIが代替するのは、「考える」という行為そのものだと言えるだろう。最近の生成AI系サービスの中には、「○○について調べて」と指示するだけで勝手にさまざまなウェブサイトを検索し、その中から関連する情報をピックアップして読みやすいレポートにしてくれるものも存在する。
そうしたAIに頼っているうちに、「考える」「調べる」「判断する」といった能力を、人間が忘れてしまうことはないのだろうか。
ChatGPTが2022年末に登場してから、まだ2年しか経過していない。にもかかわらず、この恐れが的中している可能性を示すさまざまな事例が起きている。
たとえば、過去の記事で取り上げたように、米ニューヨーク州では、ベテラン弁護士がChatGPTに頼って法廷に提出する文書を作成した結果、そこに「存在しない判例」を載せてしまうという事件が起きた。類似の事例は世界の至るところで発生しており、人間は考えることを放棄しつつあるのだ、と主張する人がいてもおかしくない。
そんな無茶苦茶な、と思っただろうか。あるいは個々の事例はあくまで極端な例であり、大半の人々はAIを正しく使いこなしているに違いないという意見もあるだろう。しかし最近、気になる研究結果が発表されている。
スイスの経営大学院であるSBSスイスビジネススクールの研究者、マイケル・ガーリッヒらが、英国でAIを利用している一般の人々を対象にアンケート調査を実施し、結果を論文として発表している。この内容を紹介しよう。