トランプ2.0は1.0よりも明確な単独主義に

 大統領に返り咲くトランプ氏の政権は、2017年からの第1期よりもはるかに明確な単独主義を掲げています。ブレマー氏らの分析でも、米国は長年担ってきた「世界の警察官」「自由貿易の擁護者」「世界的な価値観の守護者」という役割を放棄する動きを加速させ、「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」をこれまでになく強く打ち出す見込みです。

 他方、米国の役割を肩代わりできる国家は見当たりません。フランスやドイツ、日本は政治が不安定さを増しており、グローバル・サウス(新興国・途上国)も世界秩序の再構築に積極的に関わろうとはしていません。

 では、1930年代や冷戦初期に匹敵する危険な時代に突入しつつあり、「真に壊滅的な事態が発生するリスクは日々増大している」(ユーラシア・グループの報告書)とされる現状をどうすべきなのでしょうか。

 ブレマー氏は2024年秋、東京で開かれた「G-ZEROサミット」で講演し、Gゼロ化で世界の不安定さが増す一方、現在は「技術革新の波で人類が成長し、前例のない規模で世界を公平なものにしていくチャンスでもある」と語りました。