消えた因縁の相手との試合
井上選手が巻く4つの世界ベルトを防衛するには、タフな試合スケジュールをこなしていく必要がある。各団体は世界王者に対し、定期的に対戦相手の「指名試合」を義務付けており、井上選手もクリアしていかなければならない。
グッドマン選手はWBOとIBFの2団体で指名挑戦権を保持している。トップコンテンダーではあるものの、井上選手との実力差は大きいという指摘がされていた。それでも、井上選手からすれば、この一戦が実現していれば、2団体の「指名試合」を一度にクリアできるメリットもあった。
グッドマン選手については、井上選手が昨年5月に東京ドームで行われたルイス・ネリ選手に勝利した後、リングに招き入れて対戦を呼びかけ、グッドマン選手も「ぜひ、やりましょう」と応じた。
実際に対戦が決まって行われた同10月の会見では、井上選手が約1カ月前に勝利した2度目の防衛戦の試合内容について、グッドマン選手が動画サイトで「さえない」と発言したことを認め、井上選手が「ちょっといいですか」と応戦する一幕もあった。
そんな因縁の相手と決着をつけるはずだったが、今回の中止で対戦は事実上消滅したと言っていいだろう。
実は「さえない」発言には、井上選手が警戒する“伏線”がある。