MLBとは別の道を行く米国の独立リーグ
「球界再編」があった2004年に、野球界ではもう一つの新たな試みが始まっている。それは「独立リーグ」だ。
「独立リーグ」とは、アメリカのIndipendent Leagueの翻訳だ。アメリカ東海岸では19世紀半ばからブルーカラーを中心に野球の試合興行が盛んになっていったが、1871年に有力チームが集まり「ナショナルアソシエーション」というリーグを創設。これが「メジャーリーグ=MLB」へと発展していく。
一方で、MLBに所属しないリーグやチームは「マイナーリーグ」と呼ばれたが、MLBの発展とともに、こうしたマイナーリーグのチームはMLB傘下に取り込まれていく。今では「マイナーリーグ」は「ファーム」とほぼ同義語になり、MLB傘下でメジャー昇格を目指す若手選手が切磋琢磨するリーグということになっている。
ただ、すべてのマイナーリーグがMLB傘下になったわけではなく、MLBとは別の組織、機構で試合、リーグ戦を行っていたチーム、組織もあった。これを「独立リーグ」と呼んだ。
アメリカの独立リーグは紆余曲折を経て、現在も存続している。経営体制はMLB傘下に比べて脆弱だが、それでも1万人近くの観客を集めるチームもある。
MLBとの関係は基本的に良好で、人材交流もある。またMLBの意向を受けて「ピッチクロック」などの試験的な試みを独立リーグの試合で導入するなど、協力関係にもある。
2020年、MLB傘下のマイナーリーグの球団が160から120に削減された際には、MLB機構から外れたチームの中には、独立リーグに転身したものも多かった。