推定無罪の原理に配慮した行動を取っているか?
──私たち一般人が冤罪を減らすためにできることがありましたら、教えてください。
西:まず、冤罪や刑事司法の問題に興味関心を持っていただきたいと思います。
最近では、冤罪を生むメカニズムの中に、SNSなどによる一般の方々による世論形成も含まれるようになってきました。それが、裁判官や裁判員の予断につながる可能性も十分にあり得ます。
日本を含め、国際的に刑事裁判では、推定無罪の原則が適用されます。これは「被告人は証拠に基づいて有罪を宣言されるまでは、無罪と推定されるべきである」という考え方です。つまり、逮捕された人が犯人である、有罪である、とは限らないのです。
昨今でも、メディアが推定無罪の原理に反するような情報を発信している事案も稀に見聞きします。このような情報をSNSで拡散してしまうと、事件当事者に対する予断・偏見を招きかねません。一般の方にも、推定無罪の原理に配慮した行動をとってほしいと思います。
皆さんのちょっとした関心や配慮が、冤罪の防止に繋がるかもしれない。私はそう信じています。
西愛礼(にし・よしゆき)
弁護士
1991年 鹿児島市生まれ。裁判官を経て弁護士に転身。後藤・しんゆう法律事務所(大阪弁護士会)所属。プレサンス元社長冤罪事件弁護団、角川人質司法違憲訴訟弁護団、日弁連再審法改正実現本部委員などを務める。イノセンス・プロジェクト・ジャパン、刑法学会・法と心理学会所属。
関 瑶子(せき・ようこ)
早稲田大学大学院創造理工学研究科修士課程修了。素材メーカーの研究開発部門・営業企画部門、市場調査会社、外資系コンサルティング会社を経て独立。YouTubeチャンネル「著者が語る」の運営に参画中。