安倍晋三元首相は任期が長くなるにつれて、国際的な信用度が増していったのは記憶に新しい。外交の場においては、4年から5年たってやっと一人前、それ以降が本格的な存在感を発揮できるのである。

 あるいは、これだけ大統領がコロコロ変わるのなら、いっそのこと議院内閣制を導入してはどうか。大統領制は議会との関係がねじれると、一気にうまくいかなくなる。原理的に不安定さを持った制度ともいえる。アメリカを見ていてもそうだ。

 日本のように、議会の多数派が首相を選べば、議会との関係はそこまで問題にならない。

 日本は衆議院選挙で自民党が少数与党になってから、政治が停滞するどころか、むしろ野党との交渉が盛んに行われ、意見の分かれる難しい課題に対しても対話が行われている。

 その日本から韓国の政治を見ていると、非合理的な制度を採用しているとしか思えないし、非常戒厳から弾劾訴追までのスピード感にはとてもついていけないと思う。不毛なことをやっているなと思う。なにより国民が不幸である。

 日本は来年、1925年に普通選挙法が導入されてから100年目を迎える。戦後から数えても80年だ。日本の民主主義には長い歴史の蓄積がある。

 一方で、韓国の民主化は1987年なので、まだ40年もたっていない。「若い民主主義」である。人間に例えれば、まだ30代後半。最近よく言われる、この年代が将来に不安を抱える「第二思春期」(ミドルエイジ・クライシス)のような状態に陥っているといえよう。

 韓国は、民主主義の大先輩である日本やアメリカから学んでほしいなと思う。それが日本で生まれ育った、在日コリアン3世の本音である。

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