残念ながら、こんなに政治が不安定な韓国は、外交の場では全く信用されない。北朝鮮から信用されないのはもちろん、他の国からも相手にされないだろう。

 韓国の政治について、「韓国の民主主義はダイナミックだ」とか「韓国の若者はデモに参加していて偉い」など、評価する声が日本のリベラル派の一部にはある。ネット上にはそんな声が溢れているが、あり得ない評価だと思う。

 民主主義は、ダイナミックであればいいなんてものではない。政治には安定性が不可欠だ。クーデターまがいの騒ぎが起こり、大統領が弾劾される国の民主主義は確かにダイナミックかもしれないが、国民にとってはこれほど迷惑なことはない。

 今回の騒ぎが起こったあと、飲食店からは客足が遠のいているという報道があった。政治が動揺すると、国民の生活が不安定になる。常識的な話である。

日本では代議制民主主義が機能している

 最近、母校の大阪大学のゼミで話をする機会があった。そこで、ある学生から「いま、韓国では街頭に若者が街頭に出てデモをしていますが、日本ではこういうデモが起こるとは思えません」と言われた。韓国を見習うべきではないかという考えのようだが、僕はこう答えた。

「いや、それは日本の代議制民主主義が機能しているのです。政治学では、本人・代理人関係といいますよね。つまり、主権者たる本人=国民に対して、代理人=政治家がいる。日本は、例えば自民党の裏金問題みたいに、政治への不信感が募れば、立憲民主党でもいいし、国民民主党でも日本維新の会でもいいけど、野党政治家という代理人に投票しますよね。中間団体としての政党が機能しているのです。日本人が韓国のように路上に出てデモをしないのだとすれば、それはデモをする必要がないからです。代理人である政治家が働いているからです。『デモに行く国民が偉い』というのは、あり得ない評価だと思います」

 その学生にとっては意外な回答だったかもしれないが、納得してくれたようだった。率直に言って、若者はデモなんか行かずに、デートしたり、映画を見たり、遊びに行くべきである。若者は若者らしく経済を回した方がよい。

韓国の尹錫悦大統領の拘束などを求めて行進する人々=12月12日、ソウル(写真:共同通信社)