非難の中には、「背景が夏なのでクリスマスに合わない」「未成年が酒場でバイトをする場面が出てくるなど公営放送で放送するには望ましくない」という論理的な批判もあったが、大部分は反日感情に振り回されるコメントばかりだった。

 激しい非難に直面したKBSは急遽、『すずめの戸締まり』の放送を取り消し、韓国のラブコメディ映画の『30日』を緊急編成して放送した。

8月15日に『蝶々夫人』

 尹錫悦政権になってからKBSはやたらと「親日放送」という非難に直面した。今年の8月15日の光復節には、日本の「君が代」を放送したことで国民的な批判にさらされた。舞台公演を録画して放送する「KBS中継席」は6月末に韓国の『芸術の殿堂』で上演されたプッチーニのオペラ作品『蝶々夫人』を録画して放送したのだが、日本が舞台となっているこの作品の放送時間がよりによって8月15日午前0時だったことが問題になった。

 世界的なオペラ作品だが、韓国人にとっては公演そのものより、作品の中で着物や「君が代」が頻繁に登場することが我慢ならなかった。韓国のほぼすべてのメディアが「光復節に『君が代』だなんて正気か!」とKBSを非難した。あるネットのエンタメサイトは「私が払った受信料が親日売国になって戻ってきた」という刺激的な記事を載せた。

 この件について、KBS側は「当初7月末に放送予定だったが、オリンピック中継のために後回しにされ光復節の明け方に放送された」として「変わった日程を考慮して放送内容に問題がないか時宜性が適切かを確認・検討できなかった製作陣の不手際」と何度も謝ったが、結局放送審議議員会から重懲戒を受けるはめになった。