所持品検査、身体チェック、職務質問
この日、私も警察の警戒の対象にしっかりなっていたようだ。私が布バッグからカメラを取り出し操作の確認をしていると「もし、すみません」と警備の私服警官が声をかけてきた。
「これはカメラですよね。シャッターを押してくれませんか?」
長いレンズの先から弾でも飛び出すと疑っているのか? 念には念を入れる用心深さに恐れ入った。
さらにバッグの中身まで点検し始める。中に入っていた財布を見てこう言った。
「これ財布ですよね。中身を見ていいですか?」「これ、お金ですよね」
私は「他に何に見えますか?」と返答。
さらにチェックは続く。広角レンズ、スマホ、文庫本を手に取ってパラパラめくる。念の入ったことだ。
それだけでは終わらなかった。「身体を触っていいですか?」と言い、足から順番にチェック、さらに探知機を当ててチェック。そして職質ときた。
「どこから来ました?」
「ハイ、国立市から」
「いいとこですよね」
お世辞を言われた。
最近の警察官は言葉こそ丁寧だが、有無を言わせぬ慇懃無礼な態度が多くなったような気がするのは私だけだろうか……。
警備の厳重さを思わせる事態はこれだけではなかった。やがて現場には4匹の警察犬を連れたドッグポリスが登場。会場周辺を忙しくクンクン嗅ぎまわりだした。