山万のユニークな開発戦略とは?

夕方のユーカリが丘(写真:KUZUHA/イメージマート)夕方のユーカリが丘(写真:KUZUHA/イメージマート)

 山万は一斉に開発を進めずに、常にその後の開発余地を残しておきながら、長期にわたって住宅を少しずつ開発・分譲してきた。新規住宅分譲は年間200戸程度に抑え、分譲地全体の年齢構成や街の発展の度合いに目を配りながら、街そのものの運営をしていくスタイルだ。

 こうして毎年少しずつ、宅地分譲、戸建て分譲にマンション分譲を組み合わせて計画的に街づくりを進めてきた結果、この街の人口は年々増加し、今では人口1万8943人、8100世帯(2024年4月時点)を擁する一大タウンに成長している。分譲終了から数年が人口のピークで、以降は衰退の一途をたどる他のニュータウンとは異なり、ユーカリが丘は持続可能性を持つ驚異のニュータウンなのだ。

2016年にはイオンタウンが新たにオープン

 分譲開始から40年近く経った2016年6月にイオンタウンが新たにオープンしていることも、この街の持続的な成長を示す証拠だ。年齢構成としても、エリア内の子ども(0歳から9歳)の人口が2011年に1298人だったところから、2020年には1808人と、なんと39%もの高い伸びを示しており、ここ数年の新規購入者のプロフィールを見ても、30代の若いファミリー層が中心になっている。

 山万のすごさは、単に住宅を小出しに分譲しているだけではなく、街としてどういう機能が必要になるか、街の成長とともに考え、行政でなければできないような事業展開をしていることにある。エリア内に、総合子育て支援センター、保育所、老人保健施設、グループホーム、温浴施設、映画館、ホテルなどひとしきりそろえているが、それだけではない。