過密日程の中でどれほどのパフォーマンスを出せるか。アヤックス戦で語られた言葉は、23才の彼が成長曲線の上で、次の段階へと歩みを進めていることを示唆している。
「試合の入りはちょっと足が重くてきつかったけど、途中ちょっと休んでからまた復活してきた。コンディションがあまりよくなくても、これくらいのプレーはできるかなという感覚がある。一番は、走れるようになってきているかなと。特に取り組みを変えたわけじゃないけど、ずっとやっている練習、地道なものが功を奏したのかなと思います」
試合終盤でも魅せてくれる、見事な加速
これだけの試合数をこなす中で、毎試合100%の状態でプレーすることは不可能だろう。アヤックス戦もインドネシア、中国でのワールドカップ予選をこなし、スペインに到着してから1週間後のことだった。
特筆すべきはこの得点が試合終盤の後半40分だったことだ。
右サイドでボールをひろうと、ドリブルでゴールに向かい斜めに進み、徐々にスピードをあげた。相手DFの重心を見図りながらギアを上げ、エリア内に入るとゴール左隅を狙いネットを揺らした。
「最後だしいってみよう」
そんな余裕とも受け取れる感覚とともに仕掛けた、最後のワンプレーだった。
「ボールを受けた瞬間は後ろに戻そうかと思ったんですけど、監督が『前へいけ』というので。イメージ通りでしたね。縦に行くふりをして中に入って、そこからもうシュートと決めていたので。入ってよかったです。けっこうドリブルスピードは出ていたと思いますし、最後だからっていうのが上手くいったかなと」
アヤックス守備陣は3人がかりで対応するも、久保のドリブルのスピードについていけなかった。疲れも溜まった終盤に、細かいタッチであの加速で入られると、どんなDFにとっても対応は難しい。
縦に行くふりをして中へ――久保の意図が見事に形になったシーンだった。