ハイパーテキスト以外にも様々なビジョン

 テッドの構想は、私のプロジェクトにも大きなヒントを与えてくれたのです。

 インターネットは、マイクロソフトやアップルといった企業が普及させましたが、彼らの功績は、ゼロックスの「Alto」や「Star」を模倣したに過ぎません。

 AltoやStarは、デスクトップにファイルが並ぶだけの、いわばデスクトップファイルマネージャーです。

 ファイルの内容や相互関係は定義されていませんでした。

 ファイルの相互関係を初めて定義したのが、テッドが提唱したハイパーテキストです。

 実は、テッドとの会話はハイパーテキスト以外にも及びます。

 テレビや携帯電話で、ウエブのハイパーテキストと互換性のあるユーザーインターフェースをどのように実現するか、といったことも議論しました。

 テッドはハイパーテキストの発明者として知られていますが、彼のビジョンはそれだけではありません。

 本日は、ハイパーテキストだけでなく、テッドの幅広いビジョンについて、皆さんに思いを馳せていただければ幸いです。

 以上、個人的な回想も交えながら、テッド・ネルソン氏をご紹介させていただきました。

後編は明日公開予定