(テッド・ネルソン講演の前編こちらのリンクでお読みいただけます)

慶応義塾大学で行われたテッド・ネルソン氏の基調講演(小平尚典カメラマン撮影)

映画制作者だった父親

 米ブラウン大学3年生の時、私は非常に野心的で、常に大きな哲学論文を書いていました。

 私はそれを「スキーマティクスについて」と呼びました。これは、構造と世界の関係を意味します。

 後にそれは、ケント州立大学(オハイオ州)での私の博士論文になりました。書き直しましたが、それでも良い論文でした。

 映画制作について話したいと思います。実は、私は映画制作者になろうと思っていました。私の父は映画制作者です。

 私の両親は私が生まれて2年後に離婚し、私はマンハッタンで母方の祖父母に育てられました。

 私はケント州立大学で1本の映画を制作しました。これは今でもユーチューブで見ることができます。

 そして、映画の編集、つまり、持っているすべての映像を正しい順序に並べることは、信じられないほど難しい作業であることを学びました。

 ネルソンの映画編集に関する法則というのがあります。

 n分の撮影をすると、編集には少なくともnの2乗分かかるというものです。

 私は40分のフィルムを持っていて、編集にはひと夏かかりました。しかも、それはサウンドトラックを入れる前のことです。

 つまり、創造的なプロセスは分野によって異なりますが、どの分野にも理解する必要のある複雑さがあります。