元アスキー社長の西和彦氏

 西和彦と申します。

 本日はテッド・ネルソン氏の業績を称える会に、お招きいただきありがとうございました。

 実は、私がここに呼ばれたのには、少し触れにくい理由があります。

 それは、かつて私がテッド・ネルソンの生活費を支援していた時期があったからです。

 テッドのような天才は、お金を稼ぐことには全く関心がなく、生活は周囲の人々に支えられていました。

 彼らのような天才は、まさに「カネの切れ目が縁の切れ目」で生きているようなものです。

 そんなテッドを見出し、彼の才能を世に送り出したのが、慶應義塾大学の村井純さんでした。

 型破りな性格や行動、独特の人間関係ゆえに、米国の大学はテッドに博士号を与えようとはしません。

 しかし、村井さんは彼の才能を見抜き、慶應大学で博士号を取得できるよう尽力し、教授として迎え入れたのです。

 私は、教員たるもの原石を見出し、磨き上げるべきだと考えています。
村井さんはまさにそれを実践したのです。

 テッドというダイヤモンドの原石を見つけ、彼自身の手で輝かせるよう導いた。これは日本だけでなく、世界レベルで称賛されるべき偉業だと思います。