政府のEV義務化目標とコンプライアンス費用は厳しすぎ
自動車需要が世界的に低迷する中、英国政府が課すEV義務化目標とコンプライアンス費用が厳しすぎるとの自動車業界の苦情を受け、スターマー政権が政策の緩和について協議すると表明したのと同じ日にステランティスは工場閉鎖を発表した。
世界の自動車メーカーが需要低迷に苦しむ理由はいくつもある。インフレで自動車価格が上昇する一方で消費者の購買力は低下した。利上げで自動車ローンの金利は高くなり、購買意欲を減退させる。原材料価格の高騰や半導体不足が製造コストを押し上げる。
2050年ネットゼロ(実質排出ゼロ)を目指す各国政府がEVを推進しているにもかかわらず、消費者への浸透は予想以上に遅れている。要因としては充電インフラや初期コストの大きさが挙げられる。バッテリー技術の急速な向上により走行距離への不安は次第に払拭されている。
英国では24年からゼロ・エミッション車(ZEV)規制が開始された。年間2500台以上を生産する自動車メーカーに対し、新車販売のうち乗用車の22%、小型商用車の10%を完全EVまたは水素燃料電池車とすることが義務付けられている。