英国市場からの撤退は必至
充電インフラの整備が遅れている上、消費者が内燃車からEVへ迅速にシフトするかも不透明だ。公共充電設備の信頼性や料金の高さが課題とされ、自宅充電が難しい場合、コストが膨らむ可能性がある。地方と都市部でのインフラ格差も懸念材料だ。
英自動車製造販売者協会(SMMT)はZEV義務化初年度の今年60億ポンド、さらに来年もっと大きなコストを強いられるとの分析結果を発表した。昨年2月時点の予想に比べ、今年のEVの乗用車と小型商用車の新車登録台数は11万6000台減少する見通しだ。
昨年からEVモデルの選択肢が30%増え、メーカー割引は40億ポンドに達するとみられているが、消費者の需要を十分に喚起できていない。英国の自動車業界は事業継続と雇用に壊滅的な影響を受ける恐れがある。このためZEV化を進めるには政府の緊急介入が不可欠と訴えている。
EVの乗用車は22%に届かない可能性が高く、目標未達分だけでも18億ポンドのコンプライアンス費用が発生する見込みだ。EV需要の低迷を受け、世界のメーカーがすでに減産に踏み切る中、これほどの規模の出費が発生すれば英国市場からの撤退を余儀なくされるのは必至。