投手に打者が回ることを想定した「采配の妙」?
巨人の原辰徳監督(当時)が2019年の日本シリーズで、ソフトバンクに4連敗した際にDHの有無によってセ、パの実力差が広がっていることを指摘し、導入を提言した。さらに、20年の日本シリーズでは、コロナ禍で過密日程になったため、投手の負担軽減を理由にセの本拠地も含めた全試合でDH制が採用された。
これを受けて、巨人は2021年シーズンについて、コロナ禍での投手負担の軽減や、野手に出場機会を与えるなどの理由で暫定的なDH制導入を提案したが、他球団の賛同を得られず見送られた。
野球評論家の上原浩治氏は、ヤフーで連載する自身のコラム(2022年2月12日付)で「投手の打席ホントに見たい?メジャー両リーグDH制導入へ…日本のセ・リーグはどうするのか」と題し、「ファンが『ピッチャーの打席を見たいのか』というシンプルな疑問がある。(中略)投手は投手、打線は9人ともプロの打者のほうが見応えのある試合になるのではないだろうか」とDH制の導入を提言する。
ほかにも、インターネットで検索すると、過去に来季から阪神の監督に就任する藤川球児氏や、巨人、ヤクルトなどでプレーした元DeNA監督のアレックス・ラミレス氏、中日や楽天で活躍した山崎武司氏がセのDH制導入に賛成する立場を取っていた。
一方、阪神前監督の岡田彰布氏や元中日監督の落合博満氏は、投手に打席が回ることを想定した采配の妙がなくなることから導入に反対の声を上げている。
ファンの反応では、スポーツ報知が巨人取材班公式ツイッター(現X)で2019年10月に実施したアンケートでは、2日間で6万7802票が集まり、賛成76%、反対24%だった。スポーツナビが21年12月、ユーザーに行ったアンケート(投票数約1万7000)では、「賛成」が38.2%で、「どちらかといえば賛成」を合わせると51%となり、「反対」と「どちらかといえば反対」を合わせた40.4%を上回った。(残りの回答は「どちらとも言えない」)