「履歴書の写真が坊主頭ならほぼほぼ合格」
平本:もちろん、その時点で比較的に容姿の端麗な男の子をターゲットにしていたわけですが、中でも特にヤンチャな印象のある子をジャニーは好みました。それと、坊主頭の少年が大好きでしたね。履歴書の写真が坊主頭だったらほぼほぼ合格。
──すごい情報ですね。
平本:芸能人ぶったチャラチャラした印象の少年は嫌いでした。ジャニーは無垢な印象の少年を自分で磨いてスターにしたいのです。
それなりの容姿を持っていたけれど、入れなかった人も結構いて、実際にどこを見ていたのか、明確な基準のようなものはなかったように思います。
少なくともタレント性のようなものを見抜いて選んでいたわけではなかった。自分がほしい少年を選んでいた。そういうことだったと思います。
──表参道沿いの一等地にある高級マンションの6階にジャニーの自宅兼合宿所があり、合宿所に誘われるということはジャニーから気に入られている証拠だと書かれています。気に入られると、どういう状況になるのですか?
平本:「社長に好かれれば良いポジションをもらえるだろう」「テレビや雑誌に出られるだろう」ということを、子どもながらに自分たちは分かっています。単純に上に気に入られたい。そして、自分たちの今後を決める人は、ジャニー以外にはいません。
間にスタッフがいたわけではありませんでした。全部ジャニーが見て決めていたのです。「ユー、ここで踊りなさい」「真ん中のほうが後ろよりいいでしょ」と、気に入られた人は皆センターに立たされた。踊りや歌の上手い下手はあまり関係ありませんでした。
──ジャニーが「気に入る」というのは、すなわち恋愛感情が入ってくるわけですよね?
平本:いや、それは違います。恋愛感情があるならまだマシです。愛があるなら相手を尊重する。それがないから深刻なのです。つまり「不同意」。ただやりたい。一方的な片思いかと言ったら、それも違う。被害者たちがどういう言葉で彼を表現したかと言うと「鬼畜」「悪魔」「プレデター」でしょ。
ジャニーは、相手が小中学生であれば、まずイタズラから入った。あの特殊な環境の中で、そういうイタズラに慣れさせるのです。そこから次第にエスカレートしていく。