ジャニー喜多川が男の子を選んでいた「基準」
平本:応募方法は、ジャニーズのファミリークラブにある応募要項に沿って履歴書を書いて送るだけ。よくテレビ番組やアイドル雑誌などでジュニアの募集が告知されていました。
僕が在籍していた頃は、月に数千の応募があったと聞いています。郵便局から履歴書など入った郵便物がどんどん送られてきました。ジャニーズ全盛期になってからは、1日に数千の履歴書が届いたと聞いています。
そうしてファミリークラブに届いた履歴書を、スタッフがある程度選び、選りすぐりの履歴書がジャニーの自宅に届けられる。それでも大きな袋ですよ。一つの袋に1000人分くらい入っていたんじゃないかな。
ジャニーは時間がある時にどんどん見ていって、オーディションに呼ぶ人を決める。選ばれた履歴書が事務所に戻され、スタッフがオーディションを開くんです。当時は踊りなどのレッスンをやっているテレビ朝日のリハーサル室で、合間にオーディションが開かれました。
ジャニーは履歴書を選別しながら、直に会いたい若者たちの履歴書をごく少数選びます。その人たちには、直接自分が電話をかけるのです。これがいわゆる「ジャニ電」です。
──ジャニー喜多川氏はどんな基準で、人を選んでいたと思われますか?
平本:「自分が好きかどうか」「好みかどうか」「やりたいかどうか」、選ぶ基準は結局そこです。よくジャニーには売れる男の子を選ぶ特別な審美眼があると言われるけれど、そんなものはありません。
──ないのですか?
平本:デビューした人、していない人、いろいろな人がいますが、子どもだった在籍時代からその後大人になった姿を見て、そんなに一貫したものがあると思いますか?
皆が皆、郷ひろみや、本木雅弘や、木村拓哉のようになっているわけではない。
──確かに、そうはなっていませんね。
平本:10年後や20年後のビジュアルが見えるなどということはあり得ません。それは周囲の人たちが作った都市伝説のようなものです。彼は自分が「これだ」と感じた獲物を探していたに過ぎません。