ビジネスパーソンの生涯賃金と宝くじの高額当せん金を比べてみた

 以上をまとめると、今年の年末ジャンボ宝くじは、「一攫千金の狙いを中心に据えながら、併せて当せん金100万円以上の高額当せんも狙いたい」という年末ジャンボと、「1等前後賞合わせて5000万円の高額当せんにチャレンジしたい」という年末ジャンボミニの2種類の宝くじが用意されていることになる。

 ここで、高額当せんをやや細分化して考えてみよう。

① 1等前後賞合わせて10億円の「超高額当せん」
② 1等前後賞合わせて5000万円の「大変な高額当せん」
③ 1000万円や100万円の「高額当せん」

 の3つだ。年末ジャンボは①と③、年末ジャンボミニは②を、主に狙うくじと位置付けることができる。そして、どちらの宝くじも当せん金1万円以上の賞も十分に狙える。

 このうち、③は年収との関係で当せんした場合のうれしさが、なんとなく想像できる。一方、①と②は、どちらも日ごろはまず目にしないような高額であるため、イメージしにくいかもしれない。

 そこで、ビジネスパーソン1人が生涯でいくら賃金を得るかを考えてみる。もちろん、ひと口にビジネスパーソンと言ってもいろいろな人がいて、生涯賃金には幅があるだろう。ここでは、平均的な金額を見てみる。

 独立行政法人労働政策研究・研修機構の『ユースフル労働統計2023』によると、日本では労働者の生涯賃金は、大学卒の男性は約3億2020万円、女性は約2億5370万円。また、高校卒の男性は約2億6020万円、女性は約1億8910万円 (いずれも2022年) とされている。

 これらは学校を卒業して直ちに就職し、60 歳で退職するまでフルタイムの正社員を続けて退職金を得て、その後は平均引退年齢までフルタイムの非正社員を続ける場合の金額だ。まさに“生涯働き尽くし”のケースだが、それでも生涯賃金は平均的には4億円に届かない。

 こう見ていくと、①の超高額当せんは、労働者の生涯賃金をはるかに上回るもので、通常はまず受け取ることができないほどの高額と言える。一方、②の大変高額な当せんは、労働者の生涯賃金内の金額と位置付けることができる。

 例えば、家を建てたりマンションを買ったりする場合を考えると、物件にもよるが、②の金額がそれに近いということになるだろう(大都市の物件は1億円を超えるものも多いが……)。