確実にインフレ誘発的なトランプ氏の政策

【図表①】

トランプ次期政権下の政策と相場イメージ
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 実際に政権が発足してみなければ、トランプトレードとも言われるリフレトレードが適切だったのかどうかは分からない。しかし、一瞥する限り、インフレ誘発的な政策が多く、結果として米金利上昇とドル高が想起されるものが多いのは間違いない。

 あえて言えば、トランプ氏は気候変動対策と称して化石燃料の供給制約を無為に強めそうにない。この点はエネルギー価格を押し下げるため、ディスインフレ的とも想像される。

 また、毎度お馴染みの債務上限問題については、大統領、上院、下院のすべてを共和党が押さえる「トリプルレッド」を前提とすれば、市場が嫌う不透明感の長期化はなさそうだ。

 よって、それ自体は「悪い米金利上昇」を回避する材料とも言えるかもしれない。

 ただ、この点は解釈が判然としない。債務上限問題がすんなり通ると仮定すれば、「拡張財政に振れやすくなる」という解釈にもなり、それ自体をインフレ誘発的だと理解することもできる。不透明と言うに尽きる。

 なお、金融政策と為替相場に関連しては支離滅裂な情報発信も多いトランプ氏だが、財政政策における減税、通商政策における追加関税、そして社会政策としての移民排斥といった論点については姿勢が一貫している。

 説明するまでもなく、こうした政策はいずれも確実にインフレ誘発的な政策だ。 特に追加関税についてはトランプ氏本人が「tariff man」を自認しており、今回も気合いを入れて打ち込んでくるのは間違いない。

 追加関税に関し、現時点で分かっている情報によれば、対中国では60%、それ以外の世界全体では10%の一律関税(universal baseline tariff)を課すことが表明されており、メキシコ経由で輸入される中国車に至ってはは100%という案も浮上している。