3カ月のプロジェクトのはずが1週間で中止に
Off Radio Krakówを解雇されたジャーナリストの1人であるウカシュ・ザレスキは、「彼女の葬儀に参列したので、彼女が亡くなっていることは確実に知っている」と述べ、この企画に怒りを表明。またポーランドのデジタル化担当大臣であるクシシュトフ・ガウコフスキは、AIの発展を支持しつつも、「一定の境界線が次第に越えられようとしている」と警告した。
さらに、この企画にゴーサインを出したミハウ・ルシネックも、出来上がったインタビュー番組が「ひどいものだった」と感想を述べ、シンボルスカが決して使わないような言葉を使用していたと指摘した。
ただし、彼は「もしインタビューが本当に良かったとしたら、それは恐ろしいことだっただろう」とも述べており、デジタル・レザレクション技術が完璧でないことに安堵するようなそぶりも見せている。
いずれにしても、人間のジャーナリストを解雇してAIに置き換えたこと、そしてポーランドを代表するような詩人をデジタル技術で復活させたことに多くの批判が寄せられた結果、Off Radio Krakówは今回の「実験」の中止を発表。開始からわずか1週間での断念となった。
中止を宣言するリリースの中で同局は、プロジェクトは最長3カ月続くと想定していたが「わずか1週間後に非常に多くの観察結果、意見、結論が集まった」ため「継続は無意味であると判断」したと説明。さらに「この実験に伴う感情のレベル、存在しない意図や行動が私たちに帰せられたこと、そして誤った報告に基づく厳しい判断にも驚かされた」としている。
このようにOff Radio Krakówは、本音か建前かは分からないが、世論の反応に驚きの感情を示している。しかし、マスメディアがエンターテインメント目的ではなく、真面目なニュースという建付けで有名人をデジタル・レザレクションするというのは、どう考えてもさまざまなリスクをはらむものだろう。