リスナー数「ほぼゼロ」のラジオ局の蛮勇
Off Radio Krakówは対話型AIであるChatGPT、ElevenLabsの音声AI、Leonardo.AIの画像生成AIを活用してこれらのパーソナリティをつくり上げ、実際に彼らに番組を担当させたのである。
ただ同局のリリースによれば、すべてのコンテンツをAIが生成したのではなく、原稿はAIを活用した人間のジャーナリストが用意したとのこと。生成された原稿を人間がチェックした上で、音声への変換が行われ、それをラジオ番組として放送したという。
Off Radio Krakówがこのように大胆な策に打って出たのは、リスナー数の低迷に悩んでいたことがきっかけだった。
ニューヨークタイムズ紙の記事によれば、同局のリスナーは「ほぼゼロ」という状態で、いずれにしても何らかのテコ入れをしなければならなかった。そこで目を付けたのがAIパーソナリティだった。
実際にこの策は大きな注目を集め、リスナー数も一晩で8000人にまで増加したそうだ。
ただ、当然のことながら、この決定は関係者全員から歓迎されたわけではなかった。同局が解雇したジャーナリストの1人、マテウシュ・デムスキは「従業員をAIに置き換えること」に抗議する請願書を発表。AP通信の記事によれば、この書簡に対し、1日で1万5000人以上の賛同者が署名したという(ちなみに、この原稿を執筆している時点で、署名者の数は2万4000人を超えている)。
またリスナーたちからも、このような「実験」の対象になりたくないという抗議の電話がデムスキのもとに寄せられたそうだ。
そして、何より物議をかもしたのが、AIによる故人の復活だった。