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 企業ごとに「この会社は絶対に逃したくない」という重要顧客を定め、その顧客との関係性を深めながら売り上げと利益の最大化を目指す、ABM(アカウント・ベースド・マーケティング)。長年BtoBマーケティングに携わる庭山一郎氏によると、比較的新しい概念と思われがちなABMには、実は「営業現場の苦悩から生まれたアプローチ」と「LTV(ライフタイムバリュー)をBtoB向けに応用した発想」という、2つのルーツがあるという。その成り立ちをたどりながら、ABMの本質に迫る。

2つのルーツが存在するABM

 ABMはあまり古い概念ではありません。そのルーツには諸説在りますが、実際にグーグルの検索で「ABM」という言葉が目立つようになったのは2013年ごろからでした。今回はそのABMが生まれた背景を説明しようと思います。

 概念やフレームワークにはそれが生まれた背景や必然があり、それを理解することで本質的な理解につながります。

 私の知る限り、ABMには2つの異なるルーツが存在します。

【1】現場の苦悩から生まれた施策

 1990年代に生まれたデマンドジェネレーション()のムーブメントは、営業の前工程にマーケティングを配置し、営業部門に商談を安定供給させることで、営業生産性を高めることが目的でした。2000年にカナダのトロントでEloqua(エロクア)という世界初のマーケティングオートメーションが誕生して、このデマンドジェネレーションの発展は一気に加速します。

 そしてデマンドジェネレーションが普及するにつれて、デマンドセンターと呼ばれる担当部署の評価方法も定まり、さらに厳しくなっていきました。それが「SAL(Sales Accepted Lead:マーケティングによって作り出された案件のうち営業が受け入れた案件)」です。

※見込み客を継続的に創出する取り組み