国主導で進められてきた自治体DX。政府は停滞気味の状況を立て直すべく2020年に基本方針を打ち出し、その後も新たに計画を策定しながら政策を展開している。こうした動きの中で、実行役を担う各自治体ではDXをどう進めてきたのだろうか。「第9回 公共DXフォーラム」(Japan Innovation Review主催)に登壇した日本総合研究所チェアマン・エメリタス(名誉理事長)の高橋進氏の講演を基に、国のデジタル改革が示す方向性と、データから見えてくる自治体DXの現状と課題を整理する。

※本稿は、Japan Innovation Review主催の「第9回 公共DXフォーラム」における「基調講演:デジタル社会の実現に向けて~行政、自治体DXにおける現状の課題~/日本総合研究所チェアマン・エメリタス(名誉理事長)高橋進氏」(2025年11月に配信)を基に制作しています。

政府のデジタル改革と自治体DX推進計画の位置付け

 政府は2000年代以降、IT基本法の制定やe-Japan戦略の策定などを背景に、行政のデジタル化を進めてきた。しかし、新型コロナウイルス感染症への対応を通じて、官民を通じたデジタル改革の遅れが深刻であることが浮き彫りとなった。これを契機に、国と地方を通じたデジタル改革を本格的に進める必要性が改めて認識されるようになっている。

 こうした問題意識のもと、政府は2020年12月に「デジタルガバメント実行計画」を策定した。同計画では、「行政サービスの100%デジタル化」を掲げ、業務改革の徹底や、マイナンバー制度を核とした国と地方のデジタル化、行政手続きのオンライン化やワンストップサービスの推進、デジタルデバイド対策などが盛り込まれている。併せて、同計画を推進する司令塔として、2021年9月に「デジタル庁」が設置された。

 これらの取り組みを実効性のあるものとするには、各自治体におけるDXの推進体制の整備が欠かせない。そこで総務省は、政府の実行計画と同じく2020年12月に「自治体DX推進計画」を策定した。自治体におけるDX推進体制の構築をはじめ、DXを進める上での基本的な考え方や重点的に取り組む事項などを整理し、全国の自治体に対する方針を示している。

 国は、これらの計画に基づき各自治体に体制整備を求めてきたが、実際の取り組みはどこまで進んでいるのだろうか。