当たり年だった1968年

 ドラフト会議は2024年で60回を数えるが、これほどの「大豊作」のドラフトは以後もない。

 各球団がこの年獲得した主要な選手の通算成績を上げるとこうなる。

*試=試合 安=安打 本=本塁打 登=登板 勝=勝利 S=セーブ
野手は1000試合以上、投手は400登板以上 ◎=野球殿堂入り ☆=名球会。
通算成績は、移籍したチームの成績も含む。

【東映フライヤーズ】
1位・大橋穣(内野手)亜細亜大学・1372試739安96本
4位・金田留広(投手)日本通運・434登128勝2S

【広島東洋カープ】
1位・山本浩司(外野手)法政大学・2284試2339安536本◎☆
2位・水沼四郎(捕手)中央大学・1333試706安41本

【阪神タイガース】
1位・田淵幸一(捕手)法政大学・1739試1532安474本◎

阪神に指名され考え込む田淵幸一(法大)。相思相愛だった巨人よりも指名順位が早かった阪神により指名に悩んだが、最終的に阪神入りを決断した。=1968年11月12日、東京・目白の自宅(写真:共同通信社)
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【南海ホークス】
1位・富田勝(内野手)法政大学・1303試1087安107本
4位・藤原満(内野手)近畿大学・1354試1334安65本

【サンケイアトムズ(のちヤクルト)】
5位・安木祥二(投手)クラレ岡山・445登33勝4S

【東京オリオンズ(のちロッテ)】
1位・有藤通世(内野手)近畿大学・2063試2057安348本☆
2位・広瀬宰(内野手)東京農業大学・1090試564安35本

【近鉄バファローズ】
10位・服部敏和(外野手)日本楽器・1241試501安27本

【大洋ホエールズ】
1位・野村収(投手)駒澤大学・579登121勝8S

【中日ドラゴンズ】
1位・星野仙一(投手)明治大学・500登146勝34S◎
2位・水谷則博(投手)中京高・476登108勝2S
3位・大島康徳(投手)中津工業高・2638試2204安382本☆
9位・島谷金二(内野手)四国電力・1682試1514安229本

【阪急ブレーブス】
1位・山田久志(投手)富士製鐵釜石・654登284勝43S◎☆
2位・加藤秀司(内野手)松下電器・2028試2055安347本☆
7位・福本豊(外野手)松下電器・2401試2543安208本◎☆

【西鉄ライオンズ】
1位・東尾修(投手)箕島高・697登251勝23S◎☆
9位・大田卓司(外野手)津久見高・1314試923安171本

 この年は、田淵幸一、山本浩二、富田勝の「法政3羽ガラス」がドラフトの目玉とされたが、3人ともに主力選手になった。それ以外の大学、高校、社会人からも一線級の選手が出た。

 この顔ぶれから、プロ野球選手の最高の栄誉である「野球殿堂入り」した選手が6人、2000本安打、200勝以上した選手に入会資格がある「名球会」メンバーが7人も出た。まさに1970年代、80年代のプロ野球を背負って立つ大選手が、大挙してプロ入りしたのだ。