論説委員長はオーナーと全面対決

 一方、米西部カリフォルニア州の有力紙ロサンゼルス・タイムズは10月24日、論説委員会が提示したハリス氏推薦をオーナーの「鶴の一声」で見送った。

(オーナーのスン・シオン氏は、同じく南ア出身の億万長者、イーロン・マスク氏とも昵懇とされている)

 マスク氏はドナルド・トランプ共和党大統領候補の「応援団長的存在」で、終盤戦に入って全米各地を飛び回って応援演説を行っている。

 また、自分が所有する「X」(旧ツイッター)をトランプ陣営に全面開放し、フェイク情報を含むハリス氏に対する誹謗中傷を黙認している。

 マリエル・ガーザ論説委員長は、ハリス氏を推薦する社説が掲載できなかったことを理由に辞任した。

 ガーザ氏は10月23日、米コロンビア大学ジャーナリズム大学院が発行する「コロンビア・ジャーナリズム・レビュー」にこう語った。

「ハリス氏を支持する社説の草稿を用意していたが、オーナーの意向で掲載できなかった」

「沈黙を続けることに納得できない姿勢をはっきり示すために辞任した。危険な時代において、沈黙を守ることは単なる無関心ではなく、共犯だ」

 オーナーのスン・シオン氏はXで、こう反論した。

論説委員会には、各候補の政策を事実に基づいて分析することなどを求めた。結果として論説委員会は沈黙を選び、私はその決定を受け入れた」

 ロサンゼルス・タイムズではガーザ氏に次いで、論説委員会のカレン・クライン氏、ピューリッツアー賞受賞のロバート・グリーン氏、コラムニストのミシェル・ノリス氏が相次いで辞任した。

 2大新聞で前代未聞の億万長者オーナー対エリート論説ジャーナリストとの対決が表面化したわけだが、底辺には「もしトラ」をめぐる億万長者の思惑があることが浮き彫りになってきた。

Barred From Endorsing Kamala Harris, Journalists Freak Out and Quit Their Jobs

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