リベラルな米国・大新聞社のオーナーたちはなぜ、ハリス推薦に反対したのか
「もしトラ」実現が色濃くなり、トランプの報復に怖気づく億万長者たち
2024.10.31(木)
高濱 賛
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トランプの報復恐れた億万長者たち
「バニティ・フェア」のジョン・スコル二ック氏は「Why are billionaires tiptoeing around Trump?」(億万長者たちはなぜトランプを用心深く扱うのか)という興味深い記事を書いている。
(vanityfair.com/donald-trump-billionaires-2024-electionoiu)
ひと言でいえば、万一、トランプ氏が大統領に返り咲けば、選挙でハリス氏を支持したビジネスリーダーたちは片っ端から報復されることを恐れているというのだ。
だから、ハリス氏を事実上支持しているマイクロソフト共同創業者のビル・ゲイツ氏、J・P・モルガン・チェースCEO(最高経営責任者)のジェームズ・ダイモン氏、投資家のマーク・キューバン氏も公の場ではハリス氏支持を明らかにしていない、という。
ワシントン・ポストのベゾス氏もロサンゼルス・タイムズのスー・シオン氏もハリス推薦を退け、一見「中立」の立場を打ち出したのもトランプ氏の報復を恐れたからだ、というわけだ。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)法科大学院のキャンベリー・クラウシング教授は、この現象を「Pascal’s Wager」(パスカルの賭け)*1と名付けている。
*1=「パスカルの賭け」とは、人間は神の存在を信じるかどうかは一種の賭けであるという哲学的主張。
つまり、トランプ氏が掲げる不法移民の大量国外追放、関税引き上げ、法人税軽減といった政策もトランプ氏の個人的判断次第で、その適用対象とその濃淡が決まる。
選挙の際の支持・不支持を尺度に個別企業別に差別的な適用をするのではないかと怖気づいているため、企業の多くが「中立」を保っているというのである。
イエール大学の歴史学者、テモシー・スナイダー教授は、こうした現象を学界の隠語で「Anticipatory Obedience」(予期的服従)と呼んでいる。
平たく言えば、「Cowardice」(臆病かぜ)ということらしい。
(Why Are Billionaires Tiptoeing Around Trump? | Vanity Fair)
では、ハリス氏が選ばれた場合はどうか。支持しなかった億万長者は報復を受けるのか。
スコルニック氏は、こう書いている。
「ハリス氏はトランプ氏を支持した者を敵対視し、報復するとは思えない」
「ジョー・バイデン大統領には、商品量を減らして高価格で売るシュリンクフレーションや便乗値上げには徹底的に戦うクリ・デ・カール(Cri de Coeur=心情の吐露)はあったが、特定の企業や個人に報復するようなことはなかった」
「ハリス氏もこれを踏襲するだろう」
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