CEOが語る路線検索の未来

木寺: 大規模な言語モデルへの興味はどこから来ているのでしょうか?

菊池: 私は技術の進化に常に関心を持っていますが、特に大規模な言語モデルには強い興味を持っています。

 この分野は、人間の言語を理解し、それを再現することを目指しているため、その可能性は計り知れません。

 しかし、同時に多くの課題も抱えています。例えば、初期のモデルでは簡単な計算も難しいとされていましたし、生成した内容に対する「ハルシネーション」と呼ばれる現象も問題とされていました。

木寺: ハルシネーション現象についてもう少し詳しく教えていただけますか?

菊池: もちろんです。ハルシネーションとは、モデルが事実ではない情報を生成してしまう現象を指します。

 この問題は、モデルがトレーニングデータのパターンを過度に一般化することから生じます。

 例えば、GPT-3.0時代にはこの問題が顕著でしたが、バージョン3.5では多少の改善が見られました。

 それでも完全には解決されておらず、使用する際には注意が必要です。

木寺: AI技術を用いた「お出かけAI」サービスについて教えてください。

菊池: 2023年の5月にα版としてリリースした「お出かけAI」は、チャットGPTを活用した画期的な試みでした。

 ユーザーは出発地と目的地を入力するだけでなく、旅行計画やグルメ情報を統合した提案を受けられるサービスです。

 これにより、ユーザーの反応やサービスの実用性をさらに評価する機会を得ました。

木寺: 実際のところ、どのような反響がありましたか?

菊池: 受け入れられた部分もあれば、課題が浮き彫りになった部分もあります。特に、AIが提案するルートが実際の交通状況やユーザーのニーズに完全にマッチしていない場合がありました。

 しかし、このフィードバックが非常に貴重で、サービス改善のための重要なデータとなりました。

木寺: AIを活用したライドシェアについての展望は?

菊池: AIの力を借りたライドシェアは、都市部の交通問題を解決する有力な手段となり得ます。

 私たちは、経路検索にAIを組み込むことで、より効率的で柔軟な移動手段を提供できると考えています。

 福岡での実証実験を通じて、通常の公共交通機関に加えてオンデマンドタクシーの組み合わせも検討しています。

 この取り組みが、将来的にはさらに多くの地域で展開されることを期待しています。

木寺: 今後のAI技術の進化についてどのように思いますか?

菊池: AI技術は今後も急速に進化を遂げると確信しています。

 特に言語理解の精度が向上すれば、私たちの生活にさらに深く融合されるようになるでしょう。

 また、倫理的な観点からの課題も含め、技術の進展と共に社会との調和を図ることが今後の大きなテーマになると思います。