野崎氏の「離婚したい」はあいさつ代わり?

 早貴被告との結婚話はとんとん拍子に進み、あっというまに入籍まで辿り着いた。55歳の年の差婚は、周囲にはかなり奇異な結婚ととらえられていたが、野崎氏は気にする様子もなかった。「カネ目当て」の結婚であってもいいと割り切っていたのか、合わなければすぐに離婚すればいいと思っていたのか、あるいは寂しすぎて一刻も早く誰かと結婚したかったのか――。

 そんな野崎氏とスピード婚した早貴被告は、検察の冒頭陳述によれば結婚する前から「遺産目当てと呼ばれた女たち5選」などのサイトを閲覧し、結婚直後には「老人 完全犯罪」「覚醒剤 死亡」などのキーワードでネット検索していたという。検察は、早貴被告が最初から野崎氏を殺す気満々で結婚していたと見ているのだろう。

 さらに検察側は、殺害動機を「遺産目当てで結婚したのに離婚を迫られたから」と主張している。それを裏付けるように、これまでに複数の証人が、生前の野崎氏が早貴被告と離婚する意向を示していたと述べている。

 この点について、Cさんは法廷で興味深い証言をした。

「『離婚したい』とあいさつのように言う人だった。真に受けて家を出たら、『帰ってきてください』と言われた。コロコロと喋ることが変わるので『コロちゃん』と呼んでいた」

 約10年間連れ添ったCさんには、野崎氏の「もう離婚だ」は、日頃から聞き慣れたセリフだったようだ。