しかし、Cさんと念願の結婚を果たしても、野崎氏の病的なほどの女好きは収まらなかった。

惚れまくって口説き落とした相手

 野崎氏と懇意にしていたジャーナリストの吉田隆氏は、18年10月に講談社α文庫から出した『紀州のドン・ファン殺害 「真犯人」の正体』の中で、Cさんについても詳しく触れている。少し引用してみよう。

〈社長(*野崎氏のこと)は結婚歴が2回あり、1度目は銀座の有名店のナンバーワンホステスを見初めて結婚したという。(中略)2番目は飯倉近くのこれまた高級クラブのナンバーワンホステスさんを口説きまくって結婚した。

 この2番目の奥さんになったCさんに、社長が惚れまくっていたことが社長と付き合いだしてからよくわかった〉

〈事あるごとに口喧嘩から始まって手当たり次第に物を投げつける喧嘩から取っ組み合いの喧嘩に発展していくことも珍しくなかったと、後で複数の知人から聞いた。奥さんがいても社長の浮気の虫は活発に動き回り、それが筒抜けになるのを気にしないのがドン・ファンの性格だった。それで浮気1回につき100万円を支払っていたというから浮世離れした夫婦関係だったようだ〉

〈前妻のCさんについて面白いエピソードがある。彼女は才色兼備の女性だったが、実家が母子家庭で貧しかったので手っ取り早くお金になるホステス稼業に身を染めた。20以上も年の差があり、本来なら社長と結婚したくなかったのかもしれない。ところが家庭の事情で結婚することになった。言葉は悪いが人身御供(ひとみごくう)のようなものだったという知人もいる〉(以上、『紀州のドン・ファン殺害 「真犯人」の正体』から抜粋)