「白」の歴史と血脈はソダシへ

 前記の白毛馬の中で牝馬のブチコは4勝を挙げています。白毛馬とはいえ、まだ馬体に茶褐色のブチが点在する姿はファンの人気を集めました。そして、そのブチコが引退後に初めて誕生させた子供が、白毛のG1馬・ソダシでした。

 サンスクリット語で「輝き、純粋」といったことを意味する命名ですが、先頭でゴールする姿は白い閃光のように輝いて見えました。

 シラユキヒメの12頭の子供たちの成績は今一つでしたが(うち未出走2頭)、ブチコの生んだ「純白のアイドル」ことソダシが競走馬としての白馬の評価を一変させます。

 ソダシは桜花賞勝利後、翌2022年にG1「ヴィクトリアマイル」を制します。このとき米国ニューヨーク・タイムズがこの勝利を特集記事にしたそうです。ビッグレースにおける白毛馬の勝利が世界的に見てもいかに衝撃的なものであるかを実証しているようです。

2022年5月15日、ヴィクトリアマイル、1着のソダシと吉田隼人騎手 写真/日刊現代/アフロ

 ソダシは翌年引退、突然変異での白馬誕生が稀有なことは前述のとおりですが、白毛馬から白毛馬が誕生する確率はかなり高くなります。

 数年後、ソダシを超える「白い怪物」の誕生をきっと多くの競馬ファンが待ち望んでいることでしょう。

(編集協力:春燈社 小西眞由美)