白馬シラユキヒメの子供達

 さて、白馬に話を戻しましょう。突然変異で白毛馬が生まれる確率は7000頭に1頭という説から20000頭に1頭までと、さまざまな説があります。

 明確な数字は提示できませんが、2023年のサラブレッドの生産数がおよそ7800頭前後とされているので、突然変異での白毛馬の誕生は1年か2年に1頭程度というきわめて稀なケースということになります。

 日本競馬史上、白毛馬として最初の競走馬として知られるハクタイユー(1979年生まれ、牡)や、引退後、母馬として10頭の白毛馬を誕生させたシラユキヒメ(1996年生まれ、牝)は、両親が白毛の遺伝子を持っていないので、突然変異の例に含まれます。

 ハクタイユーは残念ながら中央競馬で4戦して勝つことはありませんでしたが(4レースとも惨敗)、引退後、産駒のハクホウクンが1997年12月30日、大井競馬場で日本競馬史上、白毛馬として初の勝利を挙げています。まさに白星の一番星です。

 残念ながら、ハクホウクンの血統は長く続かずに途絶えますが、ハクホウクンの初勝利から3年余、前述のシラユキヒメがデビューします。

 5歳という遅咲きのデビューは2001年に9戦して全敗、勝利に恵まれないまま引退し、その後、母馬として12頭の子供を産みます。そのうち白毛馬は10頭、残りの2頭は芦毛と鹿毛でした。

 白毛のほうは年齢順に、シロクン、ホワイトベッセル、ユキチャン、シロベエ、マシュマロ、ブラマンジェ、マーブルケーキ、ブチコ、シロニイ、ブッチーニと名づけられます。名前だけ見ているとかわいらしくて、競走馬というよりペットの名前のようですね。