馬体の色の分類と名馬

 ここで馬体の色について少し解説しましょう。JRAでは馬体の色を次の8種類に分別しています。黒い順から次のとおりです。また、私の独断による代表的名馬を挙げておきます。

・青毛(あおげ) 全身黒。テスコガビー、シーザリオ

・青鹿毛(あおかげ) 全身ほとんど黒で目や鼻の周辺が少し褐色。コントレイル、イクイノックス

・黒鹿毛(くろかげ) 胴体がやや褐色。ナリタブライアン、ブエナビスタ、リスグラシュー

・鹿毛(かげ) 鹿のような茶褐色。一般的な馬のイメージはこの色。ディープインパクト、アーモンドアイ、キタサンブラック

・栃栗毛(とちくりげ) 鹿毛よりも黄色がかった褐色。マーベラスサンデー、ノンコノユメ

・栗毛(くりげ) 栃栗毛より少し明るい栗色。テンポイント、テイエムオペラオー、オルフェーブル

・芦毛(あしげ) 灰色。年齢とともに白くなっていく。オグリキャップ、クロフネ、ゴールドシップ

・白毛 生まれたときから全身が真っ白。白馬と称されているもの。ソダシ

 以上の範疇からは除外されていますが駁毛(ぶちげ)という、馬体に白い毛がブチのように存在する馬がいます。分類上は白毛ですが、名馬にブチコを挙げておきます。

 ちなみに灰色の馬体から「芦毛の怪物」と称された名馬オグリキャップですが、生まれたときは一般的な馬の色である栗毛と鹿毛(茶)のような馬体をしていたそうです。

 やがて年とともに黒い肌が少しずつ白い毛に覆われ、その馬体はグレーの斑点がトレードマークのようになっていき、その強さゆえ「灰色のお化け」とも称されました。 

 オグリキャップは2010年に25歳で亡くなりますが、晩年の馬体は現役当時とは異なり、白毛馬のように真っ白になっていました。ただし、オグリキャップは白毛ではなく、芦毛(あしげ。葦毛とも)で、生まれたときは一般的な茶系に見える馬体だったのが、年とともに見た目が灰色へと変わり、晩年は真っ白になりました。

 オグリキャップが国民的な人気を得ていた頃、競馬を知らない私の母が「デパートの入口で売っていたから」と言って、オグリ人形をお土産に買ってきてくれたことがありましたが、人形の馬体の色はやや濃いめのグレーでした。現役だった当時の馬体の色に似せたものでしょう。オグリキャップが競馬の代名詞となるほどの人気を勝ち得た理由の一つに、その特色ある馬体の色も貢献している、と私は思っています。