5.遠距離宇宙通信センター破壊との関連

 今年6月23~24日、ウクライナは、クリミア半島エフパトリア近郊の遠距離宇宙通信センターのアンテナ複合施設に、ATACMS(The Army Tactical Missile System=陸軍戦術ミサイルシステム、エイタクムス)×4発を撃ち込んだ。

 ウクライナは、ロシアの衛星通信およびナビゲーションシステムの重要な軍事構成要素である施設を破壊したのだ。

 これは、ウクライナが電子線攻撃を開始し、ロシアのシャヘドをコントロール不能にし始めた7月の前月である。

 ウクライナがロシアのシャヘドを混乱させていることと関係があるように思える。

6.シャヘドの撃墜、不明落下数の推移と予測

 ロシアのシャヘド攻撃回数とその対応の結果である撃墜数、撃ち漏らし数の統計を2022年8月(ウクライナ空軍の公表開始時期)からグラフにした。

 攻撃回数は月平均100回、300回、400回と逐次増加し、ウクライナのクルスク侵攻の8月以降急激に増加している。

 撃墜率は、概ね80~90%だ。

 昨年(2023年)7月から電子線攻撃(電子妨害)によるシャヘドの落下情報が発表された。

 7月は目立つほどではなかったが、8月になって急激に増加するようになった。

 7月に3機、8月に88機、9月に約166機、10月15日現在272機が撃墜されている。10月末予想では約600機になりそうだ。

グラフ シャヘドの攻撃とウクライナの防空実績の推移

出典:ウクライナ空軍日々の発表から、筆者関連情報を抜粋して作成

 ウクライナがシャヘドを落下させる電子線装置をこれまでの推移で増加させると、今年末から来年の3月頃までに、100%近く撃墜できる可能性が出てきたと考えられる。