2.ウクライナの電子線攻撃例
ここでは、ウクライナ空軍による日々の公式発表の中から、シャヘドの攻撃とそれに対する防空実態を抜粋したものに筆者が解説を加えていく。
図 電子線攻撃によるシャヘド無人機の無効化(イメージ)
その1 電子線攻撃成果10%
今年9月25日~26日の朝、ロシアはシャヘド78機でウクライナ領土を攻撃した。
ウクライナ空軍は66機を撃墜し、8機のシャヘドがウクライナの各地域で落下した。
1機はロシア方向に帰還(ロシア国内で落下か?)し、もう1機はウクライナ領空にとどまり、戦闘作業が進行中であるとした。
ウクライナは、シャヘドを防空兵器(ミサイル、対空機関砲)により66機撃墜、電子線攻撃兵器を使った妨害により8機を落下させた。
1機はコントロール不能になり、その後ロシアに戻った。1機については撃墜できないために、引き続き防空戦闘を実施中ということである。
結果が記述されていない2機については、無人機に指示された目標に到達して爆発した。
この日、ロシアの無人機攻撃は3%成功、97%が失敗、失敗のうち10%が電子線攻撃によるものであった。
その2 電子線攻撃成果50%
10月15~16日の朝、シャヘド136機がウクライナ領土を攻撃した。
ウクライナ空軍は68機を撃墜し、64機がコントロール不能になり、2機がロシア方向に帰還し、2機が目標に到達し爆発した。
この日、ロシアの無人機攻撃は1.5%成功、98.5%が失敗、失敗のうち50%が電子線攻撃によるものであった。
その3 その他の特異事項
10月2日~3日の朝にかけて、ロシアはシャヘド105機で攻撃した。そのうちの1機が、ベラルーシ方向に飛行した。
ウクライナ空軍の報告の中には、コントロールが不能になったことを電子線攻撃によるものと明確に記述されている場合と、その記述がない場合がある。
コントロール不能になるのは、無人機自体に欠陥があるか、電子線攻撃によるかのどちらかである。
どちらの可能性が高いのか。
これだけ多くの無人機がコントロール不能になるということは、無人機の欠陥というよりは、ウクライナが報告しているように電子線攻撃による可能性が高いと見ていいだろう。