ウクライナ軍によって撃墜されたロシアの無人機「S-70」(オホートニク)の残骸を調べるウクライナ兵(10月5日、写真:ロイター/アフロ)

1.ウクライナの防空に加わった電子戦部隊

 ロシア軍はこれまで、ウクライナに自爆型無人機「シャヘド136(シャヘド)」を約9400機撃ち込んできた。

 ウクライナは、ロシア領内やクリミア半島から発射されるシャヘドをこれまで80~90%を撃墜してきた。

 だが、撃墜されなかった10~20%のシャヘドは、ロシアが狙った目標を破壊してきた。

 10~20%の撃ち漏らしで、800~1600か所の施設やその付近が破壊されているのである。ウクライナにとっての被害は甚大である。

 ウクライナはこれまで、航空部隊、対空ミサイル部隊、ウクライナ国防軍の機動射撃集団がこの無人機を撃墜してきた。

 1機のシャヘドを撃ち落すために迎撃ミサイルを発射し、数千ドル、場合によっては数百万ドルという法外な費用がかかることもあった。

 最近では電子戦部隊が加わって、その効果を次第に発揮するようになり、電子戦部隊による撃墜比率が増加している。

 今年7月以降、ロシアの無人機でコントロール不能に陥り、目標に到達することなく落下した機が出ている。

 しかも、その数が急速に増加しているというのである。数は少ないが、発射したロシア領内あるいはベラルーシに飛翔しているものもある。

 また、8月にはロシアのステルス無人爆撃機(ロシアは、ステルス性能があるとしている)がコントロール不能に陥っただけでなく、随伴していたステルス戦闘機がミサイルで撃墜するという特異な事態が起きた。

 そこで、ウクライナは電子戦攻撃でどのようにシャヘドを無効化しているのか、シャヘドを無効化させた仕組み、および自爆型無人機攻撃に対する対処についての今後の予想について考察する。