ヒラリーの性スキャンダル、その結末
かつては米大統領のセックス・スキャンダルについては、マスコミは詮索しないという不文律があった。
大統領の性スキャンダルが報じられるようになったのは第42代大統領ウィリアム・ジェファソン・クリントン(ビル・クリントン)のときからである。
大統領就任前からビル・クリントンは政治的なスキャンダルや、不倫にセクハラ行為といった性スキャンダルが頻繁に報じられてきた。
大統領に就任するとその翌年、元女優ジェニファ・フラワーズとのセックス・スキャンダルが雑誌、『アメリカン・スペクテイター』にスクープされる。
クリントン大統領はCBSのニュース番組、『60ミニッツ』でフラワーズとの性的関係を否定する。
だが、その直後、フラワーズはNBCの報道番組、『リチャード・ベイ・ショー』で、クリントンとの電話の会話を密かに録音したテープをフランソワーズが放送中に再生するなどして、大統領の嘘を暴露した。
また、ビル・クリントンは昵懇な仲だった大富豪ジェフリー・エプスタインが、少女や若い女性らを別荘に集めてセックス・パーティーを開いていたが、そこにクリントンは何度も出入りをしていた。
夫に裏切られ、本来なら心穏やかではない妻ヒラリーだが、彼女はこうしたスキャンダルのたびに、常に率先して疑惑の揉み消しに尽力した。
このことから、クリントンとヒラリーは戦略的パートナーシップの代表的夫婦といわれている。
ビル・クリントンは、「我々は、紛争よりも協力関係の方が有効だと証明するために生きている」との言葉を残している。
クリントンが大統領になる前のアーカンソー知事時代、彼がリトルロックのホテルで品質管理に関する大会の挨拶に来ていた時のこと。
クリントンは大会受付をしていたアーカンソー州の元職員ポーラ・コービン・ジョーンズに目をつけると、護衛の州警察官の一人ダニー・ファーガソンに、ホテル内のクリントンの部屋に連れて来させた。
そこで彼は、「君は官能的で魅力的な身体をしているね」と言いながら、ズボンを下ろし性器を露わにすると、彼女に口淫するよう求めた。
ポーラは連邦地区裁判所に、「クリントンの露骨なセクハラ行為によって精神的に著しく傷ついた」として、クリントンと知事を護衛したダニー・ファーガソンに、85万ドルの損害実額の賠償と懲罰的賠償金の支払いを求めて提訴。
すると、クリントンは控訴裁判決が下されるのを待たず、ポーラが求めた85万ドル全額を支払うことで和解する。
同じ年、クリントン大統領はルイス&クラークカレッジの卒業生で、ホワイトハウスのインターンとして採用されたモニカ・ルインスキーとのセックス・スキャンダルで彼は、再び全米の注目を浴びる。
ルインスキーは国防総省の同僚リンダ・トリップに電話で、「私、大統領から口淫するように強要されたのよ」と告白している。
「まさか!?」と驚いたトリップは、ルインスキーが「大統領とセックスした」という会話の内容を密かに録音する。そうした電話での会話の録音は20回に及んだ。
ルインスキーはトリップに、クリントンとセックスした際、「彼ったら膣外射精をしたのはいいのだけど、勢い余って私の青いドレスに精液が飛び散って、汚れてしまったのよ」と話した。
それを聞いたトリップは、「そのドレスはクリーニングしないでそのままにしておいた方がいいわ」とアドバイスする。
リンダ・トリップはクリントンの疑惑を調査していたケン・スター独立検察官に、「クリントンがホワイトハウスのインターン・ルインスキーと性的関係にある」と告げると、その証拠としてトリップとルインスキーの会話を録音したテープを検察官に渡した。
それが発端となり、大統領とホワイトハウスのインターンとの不適切な関係が、全世界に報じられることになった。
クリントンは1998年、テレビ演説の最後に「私はルインスキーさんと性的関係を持ったことはありません」とセックス疑惑を否定する。
しかし、「大統領の精液の染みがついた青いドレス」の存在が明らかになると、付着した精液とクリントンの血液サンプルが照合されたことで、性的関係が明るみとなり、事態は「セックスゲート」事件として前代未聞のスキャンダルに発展。
「精子の付いた青いドレス」という動かぬ証拠により、ホワイトハウスのインターンと、「不適切な行為」を認めざるを得なくなったクリントン大統領は、法廷証言と全国放送のテレビ演説で国民に謝罪。
取材者からの「なぜ、あなたはインターンのルインスキーさんとセックスをしたのか」という質問に、「私は彼女とやりたいからやったのではなく、やれるからやったのだ」と発言している。
ルインスキーはクリントン大統領との関係について、1995年11月から約1年半の間に9度、大統領と性的関係を持ったと語っている。
妻ヒラリーは、ルインスキー事件について、「ビルの首を絞めてやりたい」と述べているのだが・・・。