ただ、この更生手続きは、「親子の確執」から意図的に申し立てられたものであるとして、伊勢元会長は不服申しての抗告を講じることにした。

 そしてこの後、伊勢元会長をさらに奈落に突き落とす出来事が待っていた。

数々の投資トラブルで名前が…

 伊勢元会長の側近が明かすところでは、

「巻き返しを図ろうとした伊勢さんは、裁判闘争資金として、5億円を用立ててくれるところを探していました。折しも、伊勢さんのもとに出入りしていた、山梨のある宗教法人の関係者から、“N”という人物を引き合わされた。

 Nは『人民日報海外版日本月刊』の理事や『日本深圳経貿文化促進会』という一般社団法人の副会長といった名刺を差し出してきました。そのうえで、モンゴル政府の肝煎りで、現地の食糧事情を改善するプロジェクトにも携わっていると吹聴していました」

 実は、Nの名はこれまでも投資トラブル絡みで何度か取り沙汰されてきた。例えば、17年、「ZANNコーポレーション」なる米ネバダ州に拠点を置く会社の代表として、マカオのカジノホテルを最大1000億円規模で買収する計画を打ち上げたことがあった。共同経営者は、当時、『ミナミの帝王』の主人公、萬田銀次郎役を演じ、人気を博した俳優・竹内力。しかし、この買収話は真っ赤なウソだった。結局、出資金集めが始まる前に、この計画の怪しさを察知した竹内は難を逃れた。

 他にもNの名前は、2010年の「クロマグロ養殖出資金詐欺疑惑」でも取りざたされている。