新元号発表、東京五輪決定のときはどうだった?
「ご祝儀相場」とは、一般に市場性の高い商品をセリで取引する際、「初もの」などの出品を祝って高値で落札したり、全体的に値が上がったりする状況を指します。高級品で知られる夕張メロンや高級マグロなどがそのシーズンに初めて卸売市場で取引される際、通常より何倍も高い値がつくケースもその一例です。
株式市場での「ご祝儀相場」とは、大型株の新規上場や社会的な大イベントなどの際、投資家から一斉に買い注文が入り、株価を押し上げる現象を指します。年明け最初の取引となる大発会も正月気分で買い注文が増えることが多いとされ、ご祝儀相場の一例とされています。
社会的な出来事に伴うご祝儀相場には過去、どんな実例があったのでしょうか。
最近では、2019年4月1日に行われた新元号の発表時の動きが知られています。当時の官房長官だった菅義偉氏(のちの首相)が発表の記者会見で、「令和」と書かれた墨書を掲げたシーンを記憶している人も多いでしょう。新元号の発表前には「印刷関連銘柄に買い注文が入る」「元号そのものと関係の深い銘柄にご祝儀買いが入りそう」などと言われていました。
実際、新元号が発表されると、日経平均株価は上昇。発表の日の終値は前週末の終値に比べて303円22銭高の2万1509円03銭となりました。新元号と関連する企業に買い注文が集まったのも特徴です。
映像・CM制作「レイ」は社名に「令和」の読みの一部が入っていることなどから個人投資家の注目を集めました。午前の取引終了後に前週末終値比0.3%安だった株価は、「令和」発表後の午後に急上昇。7.3%高の339円でこの日の取引を終えました。新元号の出典・万葉集の文言に関係する社名を持つ外食チェーン「梅の花」も、新元号の発表後に急上昇。このほか、印刷関連需要の増加が見込まれる紙・パルプ、印刷なども急上昇しました。
2度目の東京オリンピック開催が決定したのは、2013年9月7日です。アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開かれた国際オリンピック委員会(IOC)総会でのこと。東京開催が決定した瞬間、喜びを爆発させる安倍晋三首相(当時、故人)ら政府要人らの映像を覚えている人も多いでしょう。
オリンピックへの期待から株価はその後、じわじわと上昇していきます。当時の市場はすでにアベノミクスによって株価は急騰を遂げていましたが、開催決定で株価はさらに上昇基調に。建設関連株などを中心に買いが続いていく展開が継続したのです。